金属上薄膜センサ 特集
- Chapter 1
- はじめに
本特集では、当社が開発に注力しております、
金属上薄膜センサをフィーチャーしてまいります。
洗練された当社固有のセンシング技術により生み出される高い性能ポテンシャルを活かし、さまざまな分野で革新的な製品の創出に貢献します。
金属上薄膜センサをフィーチャーしてまいります。
洗練された当社固有のセンシング技術により生み出される高い性能ポテンシャルを活かし、さまざまな分野で革新的な製品の創出に貢献します。
歪センサの種類
まず、歪センサについて、簡単に説明したいと思います。
固い物体も力を受けたときには微小に変形します。歪センサは、この目に見えないわずかな変形(歪)を検出することができるため、歪を発生させている物体内部の応力を推定することができます。
固い物体も力を受けたときには微小に変形します。歪センサは、この目に見えないわずかな変形(歪)を検出することができるため、歪を発生させている物体内部の応力を推定することができます。
歪センサは、歪検知の材料から、主に抵抗箔歪センサ、半導体歪センサ、、薄膜歪センサに分類されます。。
(1)抵抗箔歪センサ
抵抗体である金属箔が応力を受け、伸縮し、断面積と長さが変化する、すなわち形状効果をもって抵抗値が変化します。これを電位の変化値で取り出すことで歪を計測します。
(2)半導体歪センサ
応力を受けた半導体素子のピエゾ抵抗効果により、抵抗変化を示します。半導体のピエゾ抵抗効果は、抵抗変化の幅が大きく、感度の高いセンサと言えますが、温度等の環境変化に敏感な側面もあります。
(3)薄膜歪センサ
ピエゾ抵抗効果を有する金属薄膜を基材に形成し、歪による抵抗変化を計測します。一般的に抵抗箔型と半導体型の中間的な性格を持っています。
薄膜歪センサとは?
歪センサ膜にはピエゾ抵抗効果を持つ金属材料が用いられ、スパッタ等の方法で基材上に薄膜形成します。基材がセラミック等の絶縁物の場合、歪センサ材料を基材上に直接成膜できますが、金属の場合には、基材との導通を防ぐために絶縁膜を介して成膜する必要があります。
他の方式の歪センサも同様ですが、歪による抵抗値変化は元の抵抗値からするとほんの僅かですので、ホイートストーンブリッジ回路を用いて、抵抗値の変化分をブリッジのバランス点からの電位差として取り出します。
今回紹介します当社の歪センサは、上記でいう(3)の薄膜歪センサに該当します。
なお、歪センサの多くは、抵抗箔や半導体素子を樹脂フィルムの上に接着させるか、フィルム上に薄膜素子が形成されておりますが、当社の薄膜歪センサは、剛性のある金属チップ上に歪ゲージを形成している金属上薄膜センサになります。
- Chapter 2
- 当社金属上薄膜センサの紹介
本節では、当社が開発した金属上薄膜センサについて、その高い性能や特長を紹介してまいります。
高い性能ポテンシャル/利便性の追求
当社の金属上薄膜センサは、感度・環境安定性ともに優れたバランスの良い製品となっており、種々の計測ニーズに応えられる高いポテンシャルを有します。
歪センサ素子には高感度な薄膜材料を採用し、金属の基材に絶縁膜を介して膜付けすることにより、基材に生じる応力をダイレクトに検出することができます。このユニークな構造と、フィルムや接着剤を用いないことで、以下に示す優れた性能を実現しております。
1. 高感度
- 当社の薄膜材料は、一般の金属箔に比べ、ゲージ率が5~10倍という材料を用いています。そのため、、歪に対して高い出力が得られることで高S/N比が得られ、高感度のセンシングが可能です。
2. 優れたリニアリティ
- 歪センサ素子と歪が発生する金属とが硬質な絶縁膜を介して強く結合しており、滑り要因が介在しないため、ヒステリシスの発生が抑えられることにより、歪量を正確に伝達できます。
- 金属は線形弾性領域においても、応力が大きくなるに従って、僅かに非線形な性質が現れます。当社の歪センサ素子は感度が高いことから、僅かな歪を検出できるため、線形性の高い小歪領域でも十分な出力が得られます。その結果として、優れたリニアリティを実現しています。
3. 低ドリフト
- 汎用のフィルム型の歪ゲージには、基材の起歪部と歪センサ膜の間に接着剤や樹脂材料が介在します。その場合、使用環境による影響などで経時的に徐々に樹脂材料などが変形することにより、、ドリフトが生じます。対して当社は金属上に直接成膜していますので、変形する樹脂自体がないことより、環境変化や経時変化の影響を受けにくく、出力ドリフトの発生が抑えられます。
4. 高速応答
- 直接成膜の構造により基材との間に介在する物質が少ないため、応答性が阻害される要因を抑えることができます。そのため、変形からの伝達速度は極めて速く、力・トルクの変動を素早く、正確に計測することができます。
5. 高耐久性
- 直接成膜の構造により極めて高い耐久性を有しており、1,000万サイクルの耐久試験でも性能に変動はありません。
6. 取り付け利便性
- 金属チップ上に直接成膜した薄膜歪センサを構造体(被測定物)に取り付ける必要がありますが、当社は「ネジ締結」による接合技術を確立しています。薄膜歪センサを起歪部として被測定物に取り付けたうえ歪を計測しますので、搭載する装置に合わせた自由な構造設計を可能としました。。ネジ締結であることから、フィルム型の歪センサのように長い時間をかけて被測定物に接着する工程も不要ですので、大量生産にも向いており、安定性に優れ、精度の良い歪計測を実現します。
7. 設計自由度
- ゲージパターンは成膜プロセスで実現していますので、歪の生じる箇所にピンポイントに微細なパターンを形成することができることより、お客様の被測定物に合わせて薄膜歪センサを配置し、、生じる歪に沿ったパターンを形成することで自由な設計が可能です。
センサチップ+構造体のセンサモジュールとして提供します
当社金属上薄膜センサの高い性能を活かしながら、低コストで量産性に優れた力/トルクセンサを提供するために、当社では標準センサチップの被測定物への締結技術を開発・量産化しました。
センサチップを取り付ける弾性構造体を最適な形状に設計することにより、大荷重から微小荷重まで、さまざまな目的に応じた力センサやトルクセンサを安価に実現することが可能です。
センサチップを取り付ける弾性構造体を最適な形状に設計することにより、大荷重から微小荷重まで、さまざまな目的に応じた力センサやトルクセンサを安価に実現することが可能です。
測定荷重に応じた弾性構造体形状
- ※センサチップ取付済みの構造体をセンサモジュールとして、お客様に提供いたします。センサチップ単体での提供はしておりませんので、予めご承知ください。
- センサチップ単体での提供はしておりませんので、予めご承知ください。
【回路を含めた提供】
歪センサ素子への基準電圧供給、検出電位差の増幅、A/D変換、校正、シリアル通信等の機能を備えた標準回路も用意しています。回路組み込みの一体型センサモジュールとして提供可能です。
- ※標準インタフェースは RS485
その他インタフェースはご相談ください
(RS422,EtherCATなど) - その他インタフェースはご相談ください(RS422, EtherCATなど)
- Chapter 3
- 薄膜センサで出来ること
発揮できるさまざまな機能
当社の金属上薄膜センサを用いて、例えば、次のさまざまな機能ニーズを実現することが可能です。
- 一方向に加わる力・トルクの大きさを、極微小な力からトンクラスの大荷重まで計測したい
- 多方向に加わる力・トルクの大きさを、各軸方向に分離して計測したい
- 測定した負荷に従って、加圧力や回転トルクを精密に制御したい
- 変動する負荷を計測して、異常を検知したり、寿命を推測したい
- 重量や張力を精密に計量・計測したい
- 僅かな移動を瞬時に検知したい
- 加わっている力を感覚的に人へリアルに伝えたい
- 操作の力加減で機器をコントロールしたい
皆様のご要望をお聞かせください
以上から、当社金属上薄膜センサは、次のようなさまざまなアプリケーションでお客様の革新的な製品の創造に貢献する可能性を大いに秘めています。
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ロボット
-
パワーアシスト
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タッチプローブ
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カテーテル
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工作機械のツール
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ロードセル
-
重量計
-
プレス金型
-
ミシン
-
インプット
デバイス -
ジョイスティック
コントローラ -
モビリティの
駆動トルク制御
当社では、お客様の用途に最適な性能や使い勝手を提供するために、お客様のご要望をおうかがいし、ご希望に合わせたセンサを提案します。お客様の製品に最適なセンサを提供するためには、開発の早い段階から技術や仕様のすり合わせをさせていただくことが効果的です。お気軽にご相談ください。