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圧力センサ 特集

  • Chapter 1
  • 圧力センサとは?
 

 

 
 

1. はじめに

 

 

 
 
圧力センサイメージ_ニデックコンポーネンツ(株)
圧力センサとは、気体や液体といった流体の圧力を “電気信号” に変換する圧力変換器のことを総称して言います。
圧力センサが検知・計測する圧力のタイプには、大別すると、次の3つがあります。
①大気圧を基準とする圧力 =「ゲージ圧」
②絶対真空を基準とする圧力 =「絶対圧」
③2つの圧力差位 =「差圧」

 

 

2. 圧力センサの原理

 

 

 
 

圧力センサは、受圧部にダイヤフラム(隔膜)を設けており、ダイヤフラムの表面上に歪みゲージを形成しています。ダイヤフラムは圧力を受けることにより変形しますので、これを利用し、この物理的な歪みにより生じる抵抗変化を電気信号に変換して圧力を検知・計測します。

当社 ニデックコンポーネンツでは、センシング方式として拡散型半導体方式と金属薄膜方式の2種類の圧力センサを用意しております。両方式にはそれぞれ特長があり、用途に応じた多種多様な圧力センサ製品を取り揃えております。

それでは、具体的にそれぞれの方式から、動作原理をより詳細に見ていきましょう。

 
Ⅰ. 拡散型半導体センサ (Si-MEMS方式)
Sensor chip_Si-MEMS
Cross-section of Sensor chip_Si-MEMS
Cross-section of diaphragm_Si-MEMS
ダイヤフラムの断面図
Si-MEMS方式は、抵抗に加わる応力に応じて抵抗率が変化する
 “ピエゾ抵抗効果” を利用しています。

感圧素子にはシリコン単結晶を用い、ダイヤフラムを構成します。熱拡散によりシリコン単結晶上に形成されたピエゾ抵抗は圧力を受けたダイヤフラムの変形を応力として受けます。

下図のように、4 本のピエゾ抵抗を接続してホイートストーンブリッジ回路を構成します。このブリッジ回路は、定電流 (公称 DC 1.5 mA) で駆動します。圧力を加えると、R2, R3の抵抗値は増加し、他方のR1, R4の抵抗値は減少しますので、ブリッジ回路に不均衡が生じ、出力端に電圧差が発生します。この電圧差が圧力に比例した出力電圧となります。負圧についても、極性が反転することで原理は正圧と同じです。

なお、右のダイヤフラム断面図では、分かりやすいようあえてダイヤフラムの変形(歪み)を誇張して書きましたが(赤点線部)実際のダイヤフラムの変形量は極めて小さく、数ミクロン程でほぼ分かりません。Si-MEMS方式は、僅かな機械的変形で大きな抵抗変化を得られますので、圧力の出力特性として、歪み量に対する出力変換の効率 (=ゲージ率) が高いことが特長です。

  • 歪みゲージパターン_Si-MEMS型
  • ホイートストーンブリッジ回路_Si-MEMS型
 
Ⅱ. 薄膜型センサ (SUSダイヤフラム方式)
Cross-section of Sensor chip_SUS
Cross-section of diaphragm_SUS
薄膜型センサ素子の断面図
Ⅱ. 金属薄膜型センサ (SUSダイヤフラム方式)
本方式は、金属(SUS)ダイアフラム上に絶縁膜を介して薄膜ゲージを形成した構造になります。圧力を受けると金属(SUS)ダイアフラムが歪曲(変形)し、応力として変化する薄膜ゲージの抵抗値を電気信号として検知します。

下図のように、薄膜型センサもSi-MEMS方式と同様に 4 本の薄膜抵抗を接続してホイートストーンブリッジ回路を構成します薄膜抵抗は、定電圧で駆動し、圧力を受けると金属(SUS)ダイアフラムが変形することにより、これを応力として変化する薄膜抵抗の抵抗値を検出することによって、圧力に比例した電圧信号が得られます。

Si-MEMS方式に比べ、圧力の出力特性が小さいので、低圧領域には不向きですが、高圧用途や高真空が求められるような環境には適性があります。また、使用温度範囲を大きく取れ、温度による影響が少ないことも本方式の特長の一つです。

  • ホイートストーンブリッジ回路_薄膜型
 
  • Chapter 2
  • 圧力センサ事業の紹介
 

 

 
 

1. 沿 革

 

 

 
 

当社の圧力センサ事業は、1980年に電子血圧計向けに製造販売を開始して以来、事業を発展・継続してまいり、早40年以上を経過します。おかげさまで半導体製造装置をはじめ、産業機械・医療機器・分析装置・計測機器・油圧機器などさまざまな業界に幅広くご利用いただいております。

  • ニデックコンポーネンツ 圧力センサ事業 マイルストーン
  • 佐野事業所 航空写真
  • 開発技術センター

事業拠点は栃木県の佐野事業所になります。こちらでセンサチップから最終製品までを手掛けており、今日では当社を牽引する主力事業にまで成長しております。

 

2. 豊富な製品ラインアップ

 

 

 
 
Pressure sensor products
当社では、モジュールタイプからアンプ内蔵タイプ、さらには特定の圧力値の印加により感圧素子の接点を開閉させる圧力スイッチ、さらにこれに表示機能を備えた圧力ゲージなど、形態の異なる圧力センサ製品を各種豊富に取り揃えております。センサ素子は、Si-MEMS方式と金属薄膜方式を採用しており、うち、Si-MEMS方式には、非腐食性気体用であるシリコン単結晶のダイヤフラムのものと液体など腐食性媒体にも使用可能な接液部にSUSダイヤフラムを配してシリコンとの二重ダイヤフラム(シリコンオイル封入)を構成しているものと2タイプあります。用途や環境に応じて適にセンサ素子を使い分け、各種最終製品に展開しています。
方 式Si-MEMS (シリコン単結晶)Si-MEMS (二重ダイヤフラム)金属薄膜 (SUSダイヤフラム)
構 造
Si単結晶素子は、ガラスに含まれるNaイオンを介して陽極接合によりガラス台座に接合。素子が直接媒体を受ける SUSダイアフラムをレーザー溶接でハウジングに接合、Siオイルを介してSi素子に圧力を伝達。 SUSダイアフラムに絶縁膜を介して薄膜ゲージを蒸着形成。
媒 体 非腐食性気体 接液部材質を腐食させない気体・液体 接液部材質を腐食させない気体・液体
特 長
  • 金属ダイアフラムに絶縁膜を介して薄膜ゲージを蒸着形成
  • 温度に依る特性変化があるが一定温度下では再現性が高い
  • 圧力/出力が大きく高精度 (定格100 kPaで約100 mV)
  • 機械的可動部が無く高寿命
  • 量産性が高く、低コスト製造可能
  • 高真空、高圧、高温・低温向き
  • 温度に依る特性変化が少ない
  • 単一機種大量生産により低コスト製造可能
  • 電解研磨対応可

圧力センサ 各種シリーズ ラインアップ

圧力トランスジューサ
モジュール

P-2000, P-3000S P-8300, P-8305, P-8505

アンプ内蔵
圧力トランスジューサ

PA-20, PA-100, PA-500 P-7100, PA-750/758, PA-800, PA-830/838, PA-838-D, PA-850/858, PA-860/868
高真空用: PA-920S/928S
高温対応(~150°C): PA-930/930-A
高圧/低·高温対応(-40~125°C):
PA-970S/971S/972S/973S/978S
圧力スイッチ PS20, PS30, PS40, PS6, PS60 PS8, PS83, PS85, PS86 高真空用: PS91
高圧/低·高温対応(-40~125°C): PS97
  • 圧力ゲージ
  • ハンディ·マノメータ
PG-30, PG-200, PG-100N PG-35, PG-35H, PG-75, PG-208, PG-100B 高真空用: PG-20, PG-35L
※その他、圧力指示計(インジケータ)として、PZ-30, PZ-200 の2シリーズを標準ラインアップしております。

近年では、レシオメトリック出力の小型アンプ内蔵タイプや、薄膜素子を使用した高真空対応・高圧・高温領域のセンサ拡充など、新製品も積極的にリリースしており、その事業領域を拡大しております。

 
  • Chapter 3
  • 当社圧力センサの強み
 

 

 
 

1. 一気通貫の事業体制

 

 

 
 

当社では、半導体技術を駆使してセンサ素子から内製しており、さらにマウント・温度補償・電子回路付加・ケーシング等の工程を経て、圧力センサ最終製品までを自社一貫で開発・製造しております。


  • シリコンウエハ ⇒ センサ素子

  • 圧力センサ モジュール

  • アンプ内蔵 各種圧力センサ

多品種少量生産をベースとして、開発設計からセンサ素子製造工程、製品の組み立て工程/校正までを事業部一体の品質管理の下、一気通貫で対応していることが当社圧力センサの大きな特長になります。特殊仕様やさまざまな顧客ニーズにきめ細やかに対応できるこの事業体制こそが正に当社の強みです。

 

2. カスタム個別対応

 

 

 
 
― 個別対応方針 ―
当社の圧力センサ事業は、前出の標準品ラインアップ充実の一方で、お客様ファーストをモットーに、市場・顧客からの個別要求に沿ったカスタム対応や共同開発にも積極的に対応しております。

個別対応における当社の方針は、次のとおりです。

  1. 当社既存の製品/技術を応用し、事業性も鑑みて製品化可能と判断できれば、積極的に対応させていただきます。
  2. ご依頼時に保有技術として乏しい場合でも、共同開発可能と判断した場合、前向きに検討させていただきます。
  3. 当社からも、業界別に情報を収集のうえ、積極的にお客様の必要とする商品・サービスを提案させていただきます。

当社圧力センサの流動機種数は全92機種、型式としては1,992の型式数を数えます。うち、個別対応、いわゆる特殊品の占める割合は、金額ベースで実に全体の8割近くにも及んでおり、その実績が示すとおり、これまでも市場・顧客からの個別要求に見合った対応力ある商品・サービスを数多く提供してまいりました。以下、いくつかその特殊品対応例を具体的に紹介します。

 

個別対応事例

1. 電解研磨+禁油処理+クリーン梱包
電解研磨/禁油処理/クリーン梱包は、半導体製造装置のインライン配管用途には必須としてよく求められます。まず「電解研磨」では、不純物が受圧部に残らないよう平面度を化学研磨によって向上させます。また「禁油処理」では、受圧部の有機物を洗浄することでコンタミの混入を防止します。同様に「クリーン梱包」も、外部からコンタミの侵入を防止し、お客様が使用するまで圧力センサ製品のクリーンな状態を保証します。
 
2. PA-75系: ケーブルコネクタ対応 / ケーブル本体直出し
  • 標準モデル
  • ①ケーブル終端コネクタ仕様
  • ②ケーブル本体直出し仕様

PA-750/758シリーズの標準品は、本体とケーブルが脱着できるようコネクタ式を採用しており、かつ、ケーブル先端はリード線出しになっておりますが、市場/顧客からの要求により、①指定コネクタの取り付けや②本体からのケーブル直出し仕様に対応したモデルの両実績がございます。

 
3. PS20: 特殊継手仕様

  • 標準モデル
  • 特殊継手仕様

PS20シリーズの標準品はM5オネジやブロックM5メネジですが、市場ニーズに即した当社提案によりブロックの先端を伸ばし、M5穴を開けたうえ取付ネジで固定できるような特殊継手に対応しました。

 
4. その他 事例
a. 仕様/性能変更
圧力レンジ 標準ラインナップ以外のレンジ対応、基準圧力単位変更 (PSI単位ほか)
性能変更 高精度化 (出力校正誤差、温度特性向上、耐圧向上等)
出力変更 アナログ出力値変更、I2C/SPI対応等
電源電圧変更 ご希望の電源電圧に変更
環境温度変更 ご希望の環境温度に適合した仕様に変更
スイッチ設定 ご希望の圧力閾値に設定して出荷
ゼロ調整 ゼロ調整追加
b. 外観/形状変更
継手仕様変更 形状、サイズ、材質等
ケーブル変更 長さ、リード線径、コネクタ加工、端子加工、タグ付け等      
OEM対応 銘版、パネル印刷、ケース色変更等
c. その他
カスタム開発 回路基板製作、筺体製作等、高速応答等              
 

最終的には、事業性等も勘案しまして当社にて適宜判断をさせていただきますが、以上を参考のうえ、カスタム対応・共同開発のご要望については、下記ボタンよりお気軽にお問い合わせください。

 
 
  • Chapter 4
  • 圧力センサに関するよくある質問
 
 

 

 
 
1. 製品関係
1. ケーブルの仕様について (ケーブル芯線の径等)
Q. ケーブルにコネクタを取り付けたいのですが、ケーブルの仕様を教えてください。 Answer
2. 適用媒体における非腐食性気体の範囲
Q. P-2000, P-3000Sの適用媒体は非腐食性気体とありますが、水蒸気を含んだ空気は使用可能ですか?使用不可の場合、推奨される機種を教えてください。 Answer
3. ノイズへの対処 (シールドの処理)
Q. アンプ内蔵の圧力センサを使用していますが、ノイズの影響とみられる出力変動があります。装置取付側は絶縁されており、受信側のシールド線はどこにも接続していない状態で使用していますが、何か良い対策はありますか? Answer
4. 圧力スイッチのスイッチ設定方法 (例: PS91シリーズ)
Q. 圧力スイッチPS91のKF25フランジ継手を使用して真空加熱炉の大気圧時を検出しようとしています。N1とN2の選定方法が解らないのですが、真空状態から大気圧に戻った時にONするように、大気圧から真空へは-80kPaでONする設定にしたいのですが、スイッチ出力の選定と設定方法を教えてください。 Answer
5. 基板実装タイプの推奨はんだ条件
Q. P-2000をプリント基板にはんだ付けしたいのですが、推奨するはんだ付け条件はありますか? Answer
16. 漏液センサ WL10 の再使用について
Q. 漏液センサ WL10 で水漏れを検出しましたが、検出面の水をふき取れば再使用可能ですか? Answer
17. 圧力ゲージ製品の「E2エラー」対処方法
Q. 圧力ゲージPG-75を使用中ですが、長時間電源を切っていたためと思いますが、立ち上げ時にゼロ調整を行いましたところ、「E2エラー」が表示されました。対処方法を教えてください。 Answer
18. 規定にない駆動電源使用による影響
Q. P-3000Sは定電流1.5mA駆動が標準仕様となっていますが、定電圧5V駆動した場合の問題点を教えてください。また、定電流駆動時の電流を1mAとした場合、直線性や温度特性の精度はどうなりますか? Answer
19. ZERO点に誤差が生じた際の対処方法
Q. ハンディ·マノメータPG-100を使用していますが、電源を入れると、表示が「-00.3」となります。通常「00.0」と思いますが、故障でしょうか? Answer
20. ハンディ·マノメータの電池交換時期
Q. ハンディ·マノメータの電池の容量が少ないときは、圧力計の表示が薄くなるのでしょうか?交換の目安となる確認方法があれば、教えてください。 Answer
21. センシング方式、センサ部材質について
Q. 真空装置の大気圧検知に圧力ゲージPG-35を採用しています。現在、装置の引合いのあるエンドユーザーからの設備仕様で「大気圧センサには半導体式センサを使用すること、ダイヤフラムの材質はステンレスとすること」と指定があるのですが、当社のPG-35は対応していますでしょうか? Answer
22. 有機溶剤を含む媒体へのマノメータの選定
Q. ハンディ·マノメータ PG-100 を使用していますが、薄い有機溶剤を含んだ流体への使用は可能でしょうか? Answer
23. 標高の高い場所での使用 / 指示方式の種類
Q. 圧力スイッチPS6-102G-NARを高度1000mの土地で使うことを考えています。使用可能でしょうか? Answer
24. 生産中止品の情報
Q. 当社圧力センサ製品の生産中止情報を教えてください。 Answer
25. 圧力ゲージPG-30/PG-35の設定操作方法について
Q. 購入した圧力ゲージPG-35は、パネル操作から各種設定が可能と思いますが、設定のバリエーションや操作手順を存じていません。初心者でも分かるような解説資料はありますか? Answer

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