圧力センサ 特集
- Chapter 1
- 圧力センサとは?
1. はじめに
②絶対真空を基準とする圧力 =「絶対圧」
③2つの圧力差位 =「差圧」
- - Contents -
- 1. 圧力センサとは?
- (1) はじめに
- (2) 圧力センサの原理
- 2. 圧力センサ事業の紹介
- (1) 沿 革
- (2) 豊富な製品ラインアップ
- 3. 当社の強み
- (1) 一気通貫の事業体制
- (2) カスタム個別対応
- 4. 圧力センサに関するよくある質問
- (1) PG-30/35の設定操作方法
- (2) その他 Q&A集
2. 圧力センサの原理
圧力センサは、受圧部にダイヤフラム(隔膜)を設けており、ダイヤフラムの表面上に歪みゲージを形成しています。ダイヤフラムは圧力を受けることにより変形しますので、これを利用し、この物理的な歪みにより生じる抵抗変化を電気信号に変換して圧力を検知・計測します。
当社 ニデックコンポーネンツでは、センシング方式として拡散型半導体方式と金属薄膜方式の2種類の圧力センサを用意しております。両方式にはそれぞれ特長があり、用途に応じた多種多様な圧力センサ製品を取り揃えております。
それでは、具体的にそれぞれの方式から、動作原理をより詳細に見ていきましょう。
Ⅰ. 拡散型半導体センサ (Si-MEMS方式)
“ピエゾ抵抗効果” を利用しています。
感圧素子にはシリコン単結晶を用い、ダイヤフラムを構成します。熱拡散によりシリコン単結晶上に形成されたピエゾ抵抗は、、圧力を受けたダイヤフラムの変形を応力として受けます。
下図のように、4 本のピエゾ抵抗を接続してホイートストーンブリッジ回路を構成します。このブリッジ回路は、定電流 (公称 DC 1.5 mA) で駆動します。圧力を加えると、R2, R3の抵抗値は増加し、他方のR1, R4の抵抗値は減少しますので、ブリッジ回路に不均衡が生じ、出力端に電圧差が発生します。この電圧差が圧力に比例した出力電圧となります。負圧についても、極性が反転することで原理は正圧と同じです。
なお、右のダイヤフラム断面図では、分かりやすいようあえてダイヤフラムの変形(歪み)を誇張して書きましたが(赤点線部)、、実際のダイヤフラムの変形量は極めて小さく、数ミクロン程でほぼ分かりません。Si-MEMS方式は、僅かな機械的変形で大きな抵抗変化を得られますので、圧力の出力特性として、歪み量に対する出力変換の効率 (=ゲージ率) が高いことが特長です。
Ⅱ. 薄膜型センサ (SUSダイヤフラム方式)
Ⅱ. 金属薄膜型センサ (SUSダイヤフラム方式)
下図のように、薄膜型センサもSi-MEMS方式と同様に 4 本の薄膜抵抗を接続してホイートストーンブリッジ回路を構成します。。薄膜抵抗は、定電圧で駆動し、圧力を受けると金属(SUS)ダイアフラムが変形することにより、これを応力として変化する薄膜抵抗の抵抗値を検出することによって、圧力に比例した電圧信号が得られます。
Si-MEMS方式に比べ、圧力の出力特性が小さいので、低圧領域には不向きですが、高圧用途や高真空が求められるような環境には適性があります。また、使用温度範囲を大きく取れ、温度による影響が少ないことも本方式の特長の一つです。
- Chapter 2
- 圧力センサ事業の紹介
1. 沿 革
当社の圧力センサ事業は、1980年に電子血圧計向けに製造販売を開始して以来、事業を発展・継続してまいり、早40年以上を経過します。おかげさまで半導体製造装置をはじめ、産業機械・医療機器・分析装置・計測機器・油圧機器などさまざまな業界に幅広くご利用いただいております。
- 佐野事業所 航空写真
- 開発技術センター
事業拠点は栃木県の佐野事業所になります。こちらでセンサチップから最終製品までを手掛けており、今日では当社を牽引する主力事業にまで成長しております。
2. 豊富な製品ラインアップ
方 式 | Si-MEMS (シリコン単結晶) | Si-MEMS (二重ダイヤフラム) | 金属薄膜 (SUSダイヤフラム) |
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構 造 | |||
Si単結晶素子は、ガラスに含まれるNaイオンを介して陽極接合によりガラス台座に接合。素子が直接媒体を受ける。 | SUSダイアフラムをレーザー溶接でハウジングに接合、Siオイルを介してSi素子に圧力を伝達。 | SUSダイアフラムに絶縁膜を介して薄膜ゲージを蒸着形成。 | |
媒 体 | 非腐食性気体 | 接液部材質を腐食させない気体・液体 | 接液部材質を腐食させない気体・液体 |
特 長 |
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圧力センサ 各種シリーズ ラインアップ | |||
圧力トランスジューサ |
P-2000, P-3000S | P-8300, P-8305, P-8505 | ― |
アンプ内蔵 |
PA-20, PA-100, PA-500 | P-7100, PA-750/758, PA-800, PA-830/838, PA-838-D, PA-850/858, PA-860/868 |
高真空用: PA-920S/928S
高温対応(~150°C): PA-930/930-A 高圧/低·高温対応(-40~125°C): PA-970S/971S/972S/973S/978S |
圧力スイッチ | PS20, PS30, PS40, PS6, PS60 | PS8, PS83, PS85, PS86 | 高真空用: PS91 高圧/低·高温対応(-40~125°C): PS97 |
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PG-30, PG-200, PG-100N | PG-35, PG-35H, PG-75, PG-208, PG-100B | 高真空用: PG-20, PG-35L |
近年では、レシオメトリック出力の小型アンプ内蔵タイプや、薄膜素子を使用した高真空対応・高圧・高温領域のセンサ拡充など、新製品も積極的にリリースしており、その事業領域を拡大しております。
- Chapter 3
- 当社圧力センサの強み
1. 一気通貫の事業体制
当社では、半導体技術を駆使してセンサ素子から内製しており、さらにマウント・温度補償・電子回路付加・ケーシング等の工程を経て、圧力センサ最終製品までを自社一貫で開発・製造しております。
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シリコンウエハ ⇒ センサ素子
圧力センサ モジュール
アンプ内蔵 各種圧力センサ
多品種少量生産をベースとして、開発設計からセンサ素子製造工程、製品の組み立て工程/校正までを、事業部一体の品質管理の下、一気通貫で対応していることが当社圧力センサの大きな特長になります。特殊仕様やさまざまな顧客ニーズにきめ細やかに対応できるこの事業体制こそが正に当社の強みです。
2. カスタム個別対応
― 個別対応方針 ―
個別対応における当社の方針は、次のとおりです。
- 当社既存の製品/技術を応用し、事業性も鑑みて製品化可能と判断できれば、積極的に対応させていただきます。
- ご依頼時に保有技術として乏しい場合でも、共同開発可能と判断した場合、前向きに検討させていただきます。
- 当社からも、業界別に情報を収集のうえ、積極的にお客様の必要とする商品・サービスを提案させていただきます。
当社圧力センサの流動機種数は全92機種、型式としては1,992の型式数を数えます。うち、個別対応、いわゆる特殊品の占める割合は、金額ベースで実に全体の8割近くにも及んでおり、その実績が示すとおり、これまでも市場・顧客からの個別要求に見合った対応力ある商品・サービスを数多く提供してまいりました。以下、いくつかその特殊品対応例を具体的に紹介します。
個別対応事例
1. 電解研磨+禁油処理+クリーン梱包
2. PA-75系: ケーブルコネクタ対応 / ケーブル本体直出し
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標準モデル
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①ケーブル終端コネクタ仕様
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②ケーブル本体直出し仕様
PA-750/758シリーズの標準品は、本体とケーブルが脱着できるようコネクタ式を採用しており、かつ、ケーブル先端はリード線出しになっておりますが、市場/顧客からの要求により、①指定コネクタの取り付けや②本体からのケーブル直出し仕様に対応したモデルの両実績がございます。
3. PS20: 特殊継手仕様
標準モデル-
特殊継手仕様
PS20シリーズの標準品はM5オネジやブロックM5メネジですが、市場ニーズに即した当社提案により、ブロックの先端を伸ばし、M5穴を開けたうえ取付ネジで固定できるような特殊継手に対応しました。
4. その他 事例
a. 仕様/性能変更
圧力レンジ | 標準ラインナップ以外のレンジ対応、基準圧力単位変更 (PSI単位ほか) |
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性能変更 | 高精度化 (出力校正誤差、温度特性向上、耐圧向上等) |
出力変更 | アナログ出力値変更、I2C/SPI対応等 |
電源電圧変更 | ご希望の電源電圧に変更 |
環境温度変更 | ご希望の環境温度に適合した仕様に変更 |
スイッチ設定 | ご希望の圧力閾値に設定して出荷 |
ゼロ調整 | ゼロ調整追加 |
b. 外観/形状変更
継手仕様変更 | 形状、サイズ、材質等 |
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ケーブル変更 | 長さ、リード線径、コネクタ加工、端子加工、タグ付け等 |
OEM対応 | 銘版、パネル印刷、ケース色変更等 |
c. その他
カスタム開発 | 回路基板製作、筺体製作等、高速応答等 |
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最終的には、事業性等も勘案しまして当社にて適宜判断をさせていただきますが、以上を参考のうえ、カスタム対応・共同開発のご要望については、下記ボタンよりお気軽にお問い合わせください。
- Chapter 4
- 圧力センサに関するよくある質問
1. 圧力ゲージ PG-30/35シリーズ の設定操作方法
圧力センサに関するお問合わせとして、「PG-30/35シリーズの設定操作方法」についてのご質問は、比較的多く当社にお寄せいただいております。同シリーズの各種設定におけるパネル操作方法を分かりやすく解説した下記動画を用意しておりますので、ご利用の際やご不明な点が生じた際は、ぜひご覧ください。
つきましては、同シリーズの各種設定におけるパネル操作方法を分かりやすく解説した下記動画を用意しましたので、ご利用の際やご不明な点が生じた際は、ぜひご覧ください。